― 忙しい夜勤の終わりに立ち止まって考えたこと ―
導入|その夜の空気
その日は、夜勤の終わりが見えてきた明け方でした。
時間は7時。
記録をまとめながら、申し送りのことを考えながら、次の動きを気にしながら。
正直に言うと、かなり忙しくて、心にも体にも余裕がなかったと思います。
「早く終わらせたい」
「ミスなく引き継がなきゃ」
そんなことばかりが頭に浮かんでいました。
夜に症状が強く見える理由
夜勤、とくに明け方は、
認知症のある方や高齢の方にとって、不安が強くなりやすい時間帯です。
・暗い時間が長く続いたあと
・人の入れ替わりが近づく
・周囲がそわそわし始める
・自分が今どこにいるのか分かりにくい
私たちにとっては「いつもの朝」でも、
その人にとっては、安心できる手がかりが少ない時間なのかもしれません。
その夜の出来事
その方は、高齢で、認知症のある方でした。
ベッドの上で落ち着かない様子で、何度も周囲を見回していました。
表情は不安そうで、
声をかけても、すぐには安心した様子になりません。
「ここはどこ?」
「どうしてここにいるの?」
言葉ははっきりしていなくても、
“分からない”という不安だけは、とても強く伝わってきました。
その時の私の気持ち
正直に言うと、
その時の私は、しんどかったです。
忙しさもあって、
「今はそれどころじゃない」
「少し待ってほしい」
そんな気持ちが心のどこかにありました。
「どう関わればいいのか分からない」
「時間がない」
そう思いながら、
どこかうまくできていない自分を責めてもいました。
振り返り|視点を変えてみる
あとから振り返って、
いくつかの可能性が浮かびました。
もしかして、
・環境が変わって見えたから?
・声かけの言葉が、急ぎすぎていたから?
・タイミングが合わなかったから?
・人の入れ替わりを感じ取っていたから?
その方の視点で考えると、
「不安になる理由」は、たくさん思い当たりました。
私にとっては「いつもの朝」でも、
その人にとっては、何もかもが分からない朝だったのかもしれません。
「不安そうだった」のではなく、
“不安にならざるを得ない状況”だったのかもしれない。
そう考えると、
少しだけ見え方が変わりました。
夜勤で今日からできる小さな工夫
完璧な対応はできなくても、
小さなことなら、できるかもしれないと思いました。
① 今が「朝」だと伝える一言
「もう朝ですよ」「これから1日が始まりますよ」
それだけでも、時間の手がかりになるかもしれません。
② 理由を先に伝える声かけ
「検温に来ました」ではなく、
「体調を確認して、安心してもらうために来ました」
③ 5秒だけ立ち止まって表情を見る
声をかける前に、
その人の顔を見て、呼吸を見て、様子を見る。
たった5秒でも、
関わり方は少し変わる気がします。
まとめ
あの夜の出来事が、
すぐに「正解」につながったわけではありません。
今でも、
「もっとできたことがあったのでは」と思うことはあります。
でも、
「なぜあんなに不安そうだったのか」
を考え直したことで、
次の夜勤での関わり方は、少し変わりました。
最後に
もし、同じ場面に出会ったら、
あなたならどう感じるでしょうか。
そして、
次の夜勤で、
1つだけ変えるとしたら、何でしょうか。


