歩き回る理由がわからなかった夜

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深夜、歩き回る患者さん

深夜の時間帯でした。

認知症のある高齢の患者さんが、何度もベッドから起き上がり、病棟内を歩こうとしていました。

転倒の危険もあり、見守りが必要な状況でした。

声をかけても、また立ち上がる。

ベッドへ戻っても、しばらくすると再び起き上がる。

その様子を見ながら、

「なぜ歩こうとしているのだろう」

私はその理由がわからず、対応に迷っていました。


何を求めているのかわからない

歩き回る行動だけを見ると、

「危ないから止める」

という対応になりがちです。

もちろん安全は大切です。

でも、その夜は何度関わっても落ち着かず、

「何か理由があるのではないか」

という思いがありました。

ただ、その時の私は、その理由をうまく見つけられませんでした。


入院直後の言葉を思い出した

関わりながら、ふと入院直後の様子を思い出しました。

その患者さんは、

「寒い」

「トイレ」

「ここはどこだ」

「お腹が空いた」

そんな言葉を話していました。

認知症の症状として捉えていましたが、

改めて考えると、

どれも人として自然な訴えだったのかもしれません。


一つずつ応えてみる

そこで、

まずバスタオルをかけて寒さに対応しました。

トイレへ誘導しました。

今いる場所を説明しました。

そして、

「もう少しすると朝食ですよ」

とお伝えしました。

特別なことではありません。

どれも日常の中にある関わりです。


少しずつ落ち着いていった

すると、その後は表情が和らぎました。

再びベッドへ横になり、

そのまま眠ることができました。

朝になると、

朝食もしっかり食べられ、

穏やかに過ごされていました。


振り返って感じたこと

今回の出来事を通して感じたのは、

行動だけを見ていても、その理由は分からないということでした。

歩き回ることには、

寒さがあったのかもしれない。

トイレに行きたかったのかもしれない。

場所が分からず不安だったのかもしれない。

空腹だったのかもしれない。

実際の理由は一つではなく、

いくつかが重なっていたのかもしれません。


何気ない言葉の中にヒントがある

認知症ケアでは、

目の前の行動に意識が向きやすくなります。

でも、その行動の背景には、

本人なりの理由や思いが隠れていることがあります。

今回は、入院直後に何気なく話されていた言葉が、

ケアのヒントになりました。

その時は気づかなかった言葉も、

後から振り返ると大切な情報だったのだと思います。


最後に

認知症のある方の行動には、

すぐに答えが見つからないことがあります。

だからこそ、

「なぜだろう」

と考え続けることが大切なのかもしれません。

今回の夜勤では、

何気ない言葉の中にケアのヒントがありました。

もし同じような場面に出会ったとき、

あなたはどんな言葉に耳を傾けますか。

その問いを持ちながら、

また次の夜勤に向かいたいと思います。