夜勤中、後輩とこれからの仕事について話す機会があった。
夜勤では、患者さんの状態を確認しながら、ナースコールへの対応やアラームの確認、必要なケア、記録、電子カルテの確認など、その時々に必要なことを行っている。
もちろん、患者さんへの対応が最優先になる。
そのため、夜勤中に「ゆっくり話をする時間」がいつもあるわけではない。
その日も、患者さんへの対応や必要な業務を行いながら、少し業務が落ち着いたタイミングで会話をすることがあった。
一度に30分間、座って話していたわけではない。
仕事をしながら、途切れ途切れに話をしていた。
そんな中で、後輩から、
「10年くらい働いてきたんですけど、これからどうしたらいいのか、ちょっと迷っていて……」
という話が出てきた。
ジェネラリストか、スペシャリストか
話を聞いていると、これからの仕事について考えているようだった。
ジェネラリストとして幅広く経験していくのか。
スペシャリストとして、特定の分野を深めていくのか。
あるいは、将来的にマネジメントの方向に進んでいくのか。
看護師として10年ほど働くと、こうしたことを考える機会も増えてくるのかもしれない。
自分自身も、これまでの経験の中で、仕事についていろいろと考えてきた。
自分の場合
自分の場合、最初から明確なキャリアプランがあったわけではない。
患者さんとの関わりの中で、認知症看護について、
「もう少し知りたい」
「もっとできることがあるのではないか」
と思うことが増えていった。
そこから勉強したり、経験を積んだりする中で、少しずつ認知症看護を専門的に学ぶようになった。
そして、その先に認定看護師という道があった。
だから後輩には、
「自分の場合は、最初から認定看護師を目指していたわけではなかったよ」
という話をした。
専門資格を取るということ
専門性を深める方法の一つとして、認定看護師などの専門資格についても話した。
資格を取得することで、専門的な知識や視点を身につける機会になる。
一方で、実際に経験してみると、資格を取るまでには時間もお金も必要だった。
仕事以外の時間を使って勉強する。
研修や実習に参加する。
受講料や交通費などの費用もかかる。
そして、資格を取得したら終わりというわけでもない。
その後も専門性を維持していくために、更新に必要な研修や学会への参加、学会発表などを行うことがある。
更新のための費用も必要になる。
実際に経験してみて、
「資格を取るということは、取得するまでだけではなく、その後も続いていくものなんだな」
と感じた。
もちろん、専門的に学んだことで得られたものもある。
自分自身、認知症看護について学ぶ中で、患者さんを見る視点が変わったと感じることがある。
だから、資格を取ったことを後悔しているわけではない。
ただ、良い面だけではなく、そこにかかる時間や費用、取得後も続いていく取り組みがある。
そのことも、自分の経験として伝えた。
生活のことも含めて考える
そして、話は仕事だけではなく、これからの生活についても広がった。
女性の場合、結婚、妊娠、出産、子育てなど、人生の中で大きなライフイベントがある。
もちろん、すべての人が同じ人生を歩むわけではない。
結婚する人もいれば、しない人もいる。
子どもを持つ人もいれば、持たない人もいる。
そのタイミングや選択も人それぞれだ。
だから、キャリアを考えるときには、
「どんな看護師になりたいか」
だけではなく、
「これからどんな生活をしたいのか」
ということも関係してくるのだと思う。
例えば、専門資格を目指す場合には、勉強や研修のための時間が必要になる。
その時期に、自分の生活の中で何を大切にしたいのか。
仕事と生活の両方を考えながら選んでいくことになる。
自分には経験できないこともある
この話をしながら、自分には経験できないこともあると思った。
自分は男性なので、女性が経験する妊娠や出産について、同じ立場で話すことはできない。
だから、
「こうしたほうがいい」
と答えることはできない。
自分が経験してきたことを話すことはできる。
その中から、後輩自身が何か参考になることを見つけてくれればいい。
そんな気持ちで話をした。
誰かの経験を聞いて、自分で考える
今回の相談で、自分が「こうしたほうがいい」と答えたわけではない。
ジェネラリストがいいのか。
スペシャリストがいいのか。
マネジメントがいいのか。
専門資格を取るのか。
どれが正解なのかは、その人によって違うと思う。
仕事を大切にしたい時期もあれば、生活を大切にしたい時期もある。
生活が変われば、仕事に対する考え方が変わることもある。
一度決めた道を、ずっと変えられないわけでもない。
だからこそ、誰かの経験を聞いて、それをそのまま答えにするのではなく、自分のこれからを考える材料にしていく。
今回、自分が話したことも、その一つになればいいと思った。
そして後輩の話を聞きながら、自分自身もこれまでのキャリアを振り返ることができた。
患者さんへの対応を続けながら、業務の合間に交わした会話。
夜勤という限られた時間の中で、これからの仕事や生活について考える。
そんな時間も、看護師として働いていく中では大切なのかもしれない。

